Detective Conan

ずっと。













街はすっかり夜に包まれてしまった。

夜でも、既に灯りの消えることはない街。

オレが生まれ育った街だ。




オレはまだ黒のガクランを来ている。

まだしがみついている。




もう、この手には何も残ってないんだな。









こないだ、オフクロが死んだ。

みんながいろんな言葉をかけてくれた。青子も、中森家に身を寄せるよう提案してくれて。




でも。




オレは全て断った。




ずっと決めていた事があるから。










オフクロが死んだ直前、オレはずっと欲しかった物を手に入れた。

ずっと欲しかったんだ。

やっと願いが叶った。







そのずっと欲しかった物を、二度と再起出来ないように壊した。

粉々に。これ以上ないほど。

こんな物、無ければ良いんだ。

こんなモンが無ければ、オレみたいなヤツがいなくて済むから。







ずっとそうしたかったんだ。

やっと願いが叶った。








終わったんだ。

全て、終わったんだ。








ずっと決めていた。

狙った獲物を掴んだら、オレの手で全てを終わらせようって。

漸くその夢が叶う。







『快斗!』




工藤。服部。白馬。紅子。

…………青子。




オレが死んだら、誰かが憶えていてくれるんだろうか。

オレがいなくなったら、誰かが思い出してくれるんだろうか。










もう、どうでもいい。










ふわりと宙に身を投げる。




風が身を切り裂く。




視界が音を立てて変わっていく。




ああ。




この日、今を持って。




オレが消えるんだな。














クロバカイトの思考が、段々と消えていく。
そんな事すらオレは、どうでも良いと感じていたんだ。









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